富山に移住し女性が再スタート…そこには移住者を迎え入れる環境と人と人との繋がりが
新型コロナをきっかけに、富山に移住した女性の再スタートについて取材しました。
女性は富山県内に1人も知り合いもいない状態で富山での生活を始めましたが、そこには移住者を迎え入れる環境と、人と人との繋がりがありました。
大分県出身の一瀬ハンナさん(34)。
一昨年9月に富山に移住し、現在、フリーランスのウェブデザイナーとして働いています。
富山に移住したきっかけは、新型コロナの感染拡大で大分で働いていた会社を退職したことと自身の離婚でした。
*大分県出身 富山に移住 一瀬ハンナさん「(コロナでの退職や離婚で)すごく痛みもあった。ただ、それぐらいのことがなかったら、からだ一つで一歩を踏み出すのは勇気がいることだった」
友人に誘われ、一緒に移り住んだのは富山市内のアパート。
在宅ワークがほとんどのため、生活リズムを整えようと朝の散歩を日課にしています。
*一瀬ハンナさん「地元は雪が降らないので最高。わたしが来た年が観測史上最大の積雪だったみたいで。一番大変だったのを初めての年に経験して、テンションが上がった。(雪を見て)あえて歩きにいきたいくらい」
環境の変化を受け入れ、楽しみながら過ごす一瀬さん。
車を持たずに生活しているため、徒歩圏内にいる地域の人たちがサポートしてくれます。
【レディースサロン Yumi】
月に1度通う、レディースサロンのオーナーには防寒対策や除雪の方法などを教わりました。
*レディースサロンYumi 清水夕美子さん「県外から富山に来られて初めての雪だったので、除雪の仕方とかいろいろ伝えた」
*一瀬ハンナさん「1カ月に1回だけど会いに行くのが嬉しい」
【レストラン ユース丸】
また、近所にあるレストラン「ユース丸」では、総菜やデザートなど多種多様なメニューが揃えられているため、ほぼ毎日、通っているといいます。
*一瀬ハンナさん「受け入れてくださるのが一番嬉しかった。わたしは人に話しかけるタイプなので、仲良くなりたい気持ちが通じ合えるのが嬉しい。ここで会話するのは心の栄養になっている」
ユース丸のシェフ、杉川智之さんは、一瀬さんのデザイナーとしてのセンスを買って、リーフレットやロゴ制作の依頼をしました。
*ユース丸シェフ 杉川智之さん「(関係性は)ファミリー。いろいろ々お仕事を頼んでいるから、スタッフのような家族のような常連さんのような。普通のお客さんじゃない」
一瀬さんが本業としているウェブデザインとは内容は異なりますが、商品やモノの良さを発信したいという思いが制作への意欲をかき立てるといいます。
*一瀬ハンナさん「色んな人に知ってもらいたいなと思って。伝えていくのはウェブや広告の人間だと思うので、富山もみんな独り占めしたくて良さを隠していると思うが、ぜひ発信してもっと色んな人に知ってもらいたい」
【レストラン コアントロ】
様々な人と交流する中で、20歳以上も年の離れた友人も出来ました。
*コアントロ店主の娘 杉川茉鈴さん(11)「見かけたらすぐに行く。お姉さん~って感じで声をかける。話し相手ができて楽しい」
*一瀬ハンナさん
「(周りの人に)すごく助けられているんだなと思う。単身で乗り込んできたけど、意外と1人じゃなかったことが嬉しい」
地域の人たちに支えられながら、富山での暮らしを充実させる一瀬さん。
ウェブデザインの仕事も軌道に乗り、人生のリスタートは始まったばかりです。
*一瀬ハンナさん「富山でもっと遊びたいなと思って。勉強もしたいし山にも登りたい。仕事だけじゃなくて、人生のリスタートを富山、大沢野の地で楽しみたい」
コロナ禍がきっかけでの移住でしたが、取材を通して富山には移住者を迎え入れる魅力が十分にあるのだとあらためて思いました。
先日、総務省が発表した去年、各都道府県の転出人数を見ると、コロナ禍でこれまでの東京一極集中の潮流に変化の兆しが現れつつあります。
コロナ禍で地方移住も増えるなか、一瀬さんのような人をいかに県内に取り込めるかが大切だといえそうです。